恥の上塗り
岡崎市立図書館の「サイバー攻撃」問題。ネット上に多くの情報があり、もうこの問題について書くつもりはなかったのだが、図書館側が昨日公開した「岡崎市立中央図書館のホームページへの大量アクセスによる障害について」があまりに非道いので。
「警察に、このような事例が他にも存在するのか、犯罪性はあるのか、また相談窓口はないか、といったことについて相談し、最終的には被害届を提出」したそうだが、図書館側も警察もしかるべき「相談窓口」(高木浩光さんのいる産総研とかね)に相談していれば、「犯罪性」はないことはすぐに明白になっただろう。しかし、実際は「大量アクセスを行った人物」(筆者註: librahack氏)は逮捕され、執行猶予処分になった。しかもこの部分も「報道によりますと、起訴猶予処分となっているとのことです」と完全に他人事モードである。被害届を提出した図書館に警察なり検察から報告はなかったのだろうか? 冤罪を生む一原因となった当事者の使う言葉ではない。「恥の上塗り」という題を付けたが、恥というレベルではない。
この文書の発表までにネット上で種々の情報が流れており、中には図書館や警察、三菱電機インフォメーションシステムズに直接電話を掛けて、そのやりとりを公開している人もいる。そうした情報がどこまで本当なのか、あるいはどれほど主観的バイアスがかかっているかについては色々意見もあろうが、基本的にはそれなりに信用できるのではないかと個人的には考えている。(あまりに関係者に不利な情報を捏造すれば、それこそ逮捕されかねない。)これら情報は、岡崎市立中央図書館事件 議論と検証のまとめにまとめられている。
重要なのは、捜査中警察が三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)に相談しているという情報であり、もしMDISが自分たちが納入したソフトウェアにバグがあり、そのためにそう高くもない負荷でサーバが応答しなくなることを説明していれば、この事件は事件にさえならなかったのだ。岡崎市立中央図書館も三菱電機インフォメーションシステムズも警察も検察も事件の風化を待っているようだが、プロの三菱電機インフォメーションシステムズならご存知の通り、一度ネットに流れた情報はそうそう消え去ることはないのである。(警察も御存じ、幼児ポルノ画像と一緒ですな。)
表向きは風化したように見えても、みんなちゃんと覚えてるよねー、いつまでも。
で、似たような話が出るたびにちゃんと蒸し返されて語り継がれる。
素直に謝っておいたほうが印象がいいのに、わからない、っていうか、大人の都合を優先させてるだけだろうけど、ひどすぎますね。
これって起訴猶予になった男性が可哀想というのもあるのだけれども、それ以上に「明日は我が身」かも知れないというのが恐しい。
警察・検察という公的暴力機関(良い意味でも悪い意味でも)や大企業(のグループの末席)に対する抑止力をどう構成していくか、という問題でもあります。今回ネット上での動きを(現政権が円高を見るよりも)注意深く見守っていこうと思います。